車のような工業製品のボディはなめらかな曲線であることが多く、これを自由選択ツールのようなフリーハンドできれいに切り抜くのは大変むずかしいです。
またファジー選択・色域を選択ツールでは写真にかかったグラデーションが原因で思ったような範囲選択ができなかったりします。
GIMPにはパスというツールが用意されており、これはペジェ曲線と呼ばれる数式によって表現されるなめらかな曲線を描画するためのものです。
パスはなめらかな曲線で図形を作成する際によく使われるツールで、ほかの多くのドロー系ソフトウェアでも採用されているものですが、画像を切り抜くための範囲選択にも活用することができます。
画像を切り抜くための準備
切り抜きの対象となる画像をGIMPで開きます。メニューの「ファイル」→「開く/インポート」をクリックしてください。
切り抜いた後に背景を透明にするにはアルファチャンネルを追加する必要があります。メニューの「レイヤー」→「透明部分」→「アルファチャンネルの追加」をクリック。
「ウィンドウ」→「ドッキング可能なダイアログ」→「チャンネル」でダイアログを表示し、アルファが追加されていることを確認してください。
パスの基本
パスツールを起動するにはメニューの「ツール」→「パス」をクリックします。
最初は新規作成なのでツールオプションの「作成」にチェックが入っていることを確認してください。
画面を左クリックしていくと点が置かれていき、その間に直線が引かれます。
パスツールでは点をアンカーポイント、点を結ぶ線をセグメントと呼びます。
試しにぐるっと一周してみましょう。最初の点の上にマウスポインタを重ねてキーボードのCtrlキーを押しながら左クリックします。
パスの最初と最後を連結させたものをクローズドパスと呼びます。閉じていないパスはオープンパスといいます。画像を切り抜くための範囲選択には必ずパスを閉じてください。
パスを編集していきます。
マウスポインタをアンカーポイントにあわせたら、左クリックでぐりぐりしてみてください。アンカーポイントを移動できます。
再度マウスポインタをアンカーポイントにあわせたら、今度はCtrlキーを押しながら左クリックでぐりぐりしてみてください。アンカーポイントは移動せず、直線だったセグメントがぐにゃぐにゃします。
アンカーポイントからにょきっと生えたものをハンドルと呼びます。ハンドルを使ってなめらかな曲線を作っていきます。
マウスポインタをセグメントにあわせたら、Ctrlキーを押しながら左クリックしてみてください。アンカーポイントを追加できます。
マウスポインタをアンカーポイントにあわせてCtlr+Shiftキーを押しながら左クリックしてみてください。アンカーポイントを消去できます。
パスで車の画像をなめらかに範囲選択
実際にどのように使うのか見ていきましょう。試しに色々とぐりぐりしてみると、なんだか思ったように動作しないなと思われたのではないでしょうか。
まぁこれがペジェ曲線なのですが、画像の切り抜きにはそこまで高度な操作を必要としないのでご安心ください。
まずは輪郭に沿ってアンカーポイントを設置していきます。角度に変化のある場所に置いていく感じです。割と大雑把で大丈夫です。
ぐるっと一周してパスをクローズできたでしょうか。アンカーポイントを設置し終わったら、輪郭を切り抜くための曲線を作っていきます。
まずはセグメントの中間あたりを左クリックで持ち上げます。輪郭のカーブの度合いによって持ち上げる場所は調整してください。
次にアンカーポイントから飛び出ているハンドルを使って曲線を修正していきます。ハンドルの長さが長いほど曲線は緩やかに、短いほど曲がり具合は大きくなります。
失敗したらキーボードのCtrl+Zでひとつ前に戻ってください。両側のアンカーポイントを修正した後にセグメントにすき間が空いているなら、再度セグメントを左クリックで修正してください。2~3回も修正すればほど良い曲線になるはずです。
どうしてもうまくいかなかったらアンカーポイントを山ほど並べてやればよいです。あんまりスマートな方法とはいえませんが、画像を切り抜けないよりはマシです。
輪郭の曲線すべてを調整してください。
作業中に画像の表示を拡大するには
アンカーポイントの設置の際には置きたい場所を拡大表示して作業するのが効率的なのですが、ズームツールを使おうとすると設置していたパスが解除されてしまいます。
解決策として、Ctrlキーを押しながらマウスホイールを回転させてください。こちらでも画像表示の拡大・縮小ができます。マウスポインタをあわせた場所を中心にズームします。
画像の切り抜きと保存
ツールオプションの「パスを選択範囲に」をクリック。
メニューの「編集」→「切り取り」をクリック。
次にメニューの「ファイル」→「画像の生成」→「クリップボードから」をクリック。
すると切り抜いた部分に合わせた大きさのキャンパスをGIMPが自動で計算してくれます。余白は透明です。
ほかの画像などと合成するには透過PNGとして保存しなければなりません。メニューの「ファイル」→「名前を付けてエクスポート」をクリック。
ダイアログの名前欄の拡張子が.pngになっていることを確認してください。違っていたらキーボードから入力して修正してください。
これでほかの画像と合成したときに選択した部分だけがきれいに表示されるようになります。
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