マルチモニターとは、パソコンに複数のディスプレイを接続して、デスクトップの作業領域を広げることをいいます。複数のアプリケーションを開いてウィンドウを並べ、ディスプレイ間をマウスで移動することにより、入力作業やコピー&ペーストが素早く行えるので作業効率が大幅にアップします。なにより、重なったウィンドウを切り替える動作から開放されるので、非常にストレスフリーです。
マルチモニターと言えば、リアルタイムで変化する株価情報を追いかけているトレーダーを思い浮かべるかもしれませんが、言語の仕様やサンプルコードをブラウザで見ながらコーディングするプログラマや、資料を参考にしながら絵を描くイラストレーターにとっても、とても便利なものです。チューナーでテレビを見ながら SNS で情報発信する、などの使い方もできます。
今回紹介する方法は、高価なグラフィックボードを使わず、USB で接続するだけでできる簡単なものです。これなら自作パソコンだけでなく、市販のパソコンでも環境を構築することが可能です。理想は同じディスプレイを並べることですが、もちろん大きさの異なる型式でも大丈夫です。2台並べるデュアルディスプレイでも十分に快適な作業環境を作ることができるので、買い換えで余ったディスプレイの有効活用としても挑戦してみてください。
USB アダプター
こちらのアダプターを用意します。USB 3.0 対応製品も発売されているようですが、まだお高いので USB 2.0 対応のものをおすすめしておきます。
グラフィックボードより割安なので応答速度はいくらか劣りますが、高解像度の動画を見たり 3D のゲームをばりばりやるのでなければ大丈夫だと思います。当然、書類作成などの用途であれば問題ありません。
グラフィックボードよりスペックで劣る USB アダプターですが、一番のメリットは USB ケーブルで接続するだけでマルチモニター環境を構築できる手軽さだと思います。自作 PC に慣れている人はともかく、PC ケースを開けてマザーボードの PCI スロットにボードを挿す作業をしなくて済むのは、大きなメリットです。
対応している画面の解像度は、公式のホームページで確認することができます。
USBグラフィック(USB-RGB/D2) 仕様 | グラフィック関連 | IODATA アイ・オー・データ機器
お使いのディスプレイの解像度を確認する方法ですが、スタートメニューからコントロールパネルを立ち上げて「ハードウェアとサウンド」を選択。
「ディスプレイ」を選択。
「解像度の調整」を選択。
「解像度」から確認することができます。
ディスプレイにアナログのコネクタしかないよ!?
安心してください、つながりますよ。このようなコネクタを用意します。
液晶モニタに付属で付いてきたと思うので、購入する必要もないかもしれません。
ドライバのインストール
製品とディスプレイを接続する前に、まずはドライバをインストールします。付属の CD を読み込むか、CD ドライブがない場合はこちらからドライバをダウンロードします。ドライバのインストールは管理者権限で行う必要があります。
USB-RGB/D2 Windows 7用ソフトウェア | サポートライブラリ | IODATA アイ・オー・データ機器 | IODATA アイ・オー・データ機器
CD の場合はメニューの「USB-RGBシリーズ ドライバ」をクリック、ダウンロードした場合は次のようなファイルがダウンロードできるので、こちらのファイルをダブルクリックしてください。
作成されたフォルダの中に「Autorun.exe」ファイルがあるのでクリックすると、
設定画面が表示されるので「USB-RGBシリーズ ドライバ」をクリックしてください。
後は画面の手順に従い、パソコンの USB ポートと付属のケーブルで製品の接続を行います。詳しくはこちらの PDF で確認してください。
使用ガイド USB-RGB2シリーズ Windows版(PDF)
設定
接続が成功すると、通知領域に次のようなアイコンが表示されると思います。
こちらから設定を行っていきます。
画面の解像度
クリックすると、接続可能な解像度の一覧が表示されます。
回転
ディスプレイを縦にして使う場合に画面を回転させます。
移動
マルチディスプレイ環境を構築する場合はこちらを選択します。
画面をどのように並べるのか設定するには、先ほどのコントロールパネルの「解像度の調整」画面から設定します。番号の振られたディスプレイを左クリックでドラッグ&ドロップして設定してください。
USB ポートが足りないよぉ
ディスプレイを1台増やすごとにアダプターが必要になる訳ですが、3台4台と追加していくと USB ポートが不足するかもしれません。そんなときは USB ハブが必要になります。
USB ハブはたくさん種類があると思いますが、AC アダプターが付属していてコンセントから電力を供給できるタイプのものを選んでください。デュアルディスプレイなら必要ないかもしれませんが、3台以上になるとほぼ確実に電力不足で画面が表示されなくなると思います。
机が狭いんじゃ!
液晶が薄くなったとはいえ、2台も3台もディスプレイを並べると机が狭く感じるかもしれません。そんなときに威力を発揮するのがモニターアームです。
私も使っていますが、他のメーカーに比べて若干強度が足りないかなと思います。ネットでの評判もだいたいそんな感じです。ただ、この値段でモニターアームを使えるのは魅力的です。頻繁にアームを動かすような用途には向きませんが、一度固定してしまえば気にならないかと思います。
「最高の環境をそろえるのに金に糸目はつけねぇ」という漢気があふれる方には、こちらのメーカーが人気のようです。
ご購入前にご自分の机の形状が取り付けられるようになっているか、確認するのを忘れないようにしてください。
タスクバーの拡張
マルチモニターを導入してすぐに気になるのが、メインのディスプレイ以外にタスクバーが表示されないことです。
せっかく複数のウィンドウを並べて作業効率をアップしたのに、タスクバーを使うためにいちいちメインディスプレイに戻らなければならないのは実にもったいない。そんなときは「ZBar」の出番です。
「ZBar」プライマリモニター以外にも擬似的なタスクバーを表示 – 窓の杜ライブラリ
こちらはメインディスプレイ以外にも擬似的なタスクバーを表示してくれるフリーソフトです。シンプルなデザインで、サブディスプレイのタスクバーでもアプリケーションの順番を変更できるなど、使い勝手もよいのでずっと愛用しています。
スタートメニューの「スタートアップ」フォルダにアプリケーションのショートカットを置いておけば、Windows の起動と同時にサブディスプレイにもタスクバーを表示してくれるようになります。
ショートカットを置く場所は次のとおりです。
1 | C:/Users/(ユーザー名)/AppData/Roaming/Microsoft/Windows/Start Menu/Programs/Startup |
動作確認をしていないのですが、最近のトレンドはこちらの「Dual Monitor Taskbar」になっているようです。
マルチモニターで2台目以降のモニターにもタスクバーを表示「Dual Monitor Taskbar」 – 今日のお気に入り – 窓の杜
ディスプレイに個別に壁紙を設定してみたい
作業効率には関係ありませんが、ディスプレイが増えたのだから別々の壁紙を設定してみたい人もいるかもしれません。マルチモニターの定番壁紙フリーソフトといえば「MultiWallpaper」でしょうか。
「MultiWallpaper」マルチディスプレイ環境でディスプレイごとに壁紙を個別設定 – 窓の杜ライブラリ
より良いマルチモニター環境にご活用ください。
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