GIMPには矩形選択や自由選択など様々なタイプの範囲選択ツールが用意されています。単純な形だったり大雑把でよいなら問題ないのですが、細かい部分まできっちり範囲選択したいならクイックマスクが便利です。
修正用ツールというイメージの強いクイックマスクですが、鉛筆ツールをうまく設定すればクイックマスクひとつで効率的に範囲選択できます。「複数のツールの使い方を覚えるのは面倒くさい」という方におすすめです。
画像を開く
メニューの「ファイル」→「開く/インポート」をクリックし、切り抜きたい画像を読み込みます。
アルファチャンネルを追加する
切り抜いた後に背景を透明にしたいならこの操作が必要です。メニューの「レイヤー」→「透明部分」→「アルファチャンネルの追加」をクリック。
「ウィンドウ」→「ドッキング可能なダイアログ」→「チャンネル」でダイアログを表示し、アルファが追加されていることを確認してください。
画像にクイックマスクを適用する
メニューの「選択」→「クイックマスクモード」をクリック。
画像にピンク色のフィルターのようなものが表示されたと思います。これがクイックマスクです。
鉛筆ツールを設定する
メニューの「ツール」→「描画ツール」→「鉛筆で描画」をクリック。
ツールオプションを設定していきます。今回ブラシが2.Hardness 050が選択されていますが、ここは何でもよいです。硬さを100、動的特性をDynamics Offに設定します。
一番使うのはサイズです。右端の三角形を左クリックしてもいいですし、サイズバーの上にマウスをもっていくとスライダー状に変化するのでこちらで設定してもよいです。元に戻したかったら回転している矢印をクリックしてください。
描画色と背景色を設定する
「描画色の変更」ダイアログと「背景色の変更」ダイアログにHTML表記とありますので、ここにキーボードから白:ffffff、黒:000000と入力してエンターキーを押し、OKボタンを押します。
描画色と背景色は矢印をクリックすると切り換えることができます。クイックマスクによる範囲選択ではこれが威力を発揮します。
クイックマスクを削る
ではクイックマスクを削っていきましょう。
描画色を白、鉛筆ツールのサイズを300にしてみました。左クリックでポチポチしてもいいし、ドラッグでぐりぐりしてもよいです。
左クリックで作業した場所がピンク色から白くなったと思います。再度メニューの「選択」→「クイックマスクモード」をクリックしてください。選択範囲として表示されるはずです。
試しに手前のエビのお寿司を切り抜いてみたいと思います。手順として、まずは鉛筆ツールを大きいサイズにしておおまかにクイックマスクを削り、
次に鉛筆ツールを小さいサイズにして細かく削っていきます。
細かい作業をする際には拡大しておいたほうが作業がしやすいです。削りたい場所にマウスカーソルをもっていき、キーボードのCtrlキーを押しながらマウスホイールをスクロールさせると縮小・拡大をスムーズに行うことができます。
失敗してしまいました。修正します。
矢印をクリックして描画色と背景色を切り換えてください。描画色が黒になったはずです。
修正したい場所をクリックしたりなぞったりすると再度マスクがかかります。修正が終わったら描画色を白に戻してください。
鉛筆ツールのサイズ変更、画面の拡大・縮小、描画色・背景色を切り換え修正、これらを繰り返してクイックマスクを削っていきます。色が重なったりして見づらい場所はクイックマスクを一度解除してみるとわかりやすいです。
切り抜きたい対象のクイックマスクを削ることができたら、再度メニューの「選択」→「クイックマスクモード」をクリックしてクイックマスクモードを解除してください。選択範囲になっていますよね。
メニューの「選択」→「選択範囲の反転」をクリック。
キーボードのDeleteキーを押せば、選択した場所以外の部分を消去できます。
このままだと消去した部分が残ってしまうので、キャンバスの大きさを変更します。メニューの「選択」→「選択範囲の反転」をクリック。反転したものを再び反転させます。
メニューの「画像」→「キャンバスを選択範囲に合わせる」をクリック。
キャンバスサイズが変更されました。
切り抜き後の画像を保存するにはメニューの「ファイル」→「名前を付けてエクスポート」をクリックしてください。
ここで注意。背景を透明にしてほかの画像などと合成する場合、ファイルをPNGとして保存する必要があります。拡張子が.jpgなどになっていたら、名前欄にキーボードで.pngと入力して変更しておいてください。
これを透過PNGと呼びます。これで背景が透明になり、ほかの画像と合成したときに選択した部分だけがきれいに表示されるようになります。
今回は終始クイックマスクだけで範囲選択をしましたが、ほかの選択ツールで先に範囲選択しておいて、細かい部分の修正をクイックマスクで行うといった方法もあります。ケースバイケースで効率的な方法を採用するとよいのではないでしょうか。
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